エクセルで十分?最適な顧客管理のために知っておくべきこと

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あなたの会社では、お客様の情報をきちんと管理しているでしょうか? 営利目的に事業活動を行う企業にとって、自社の商品やサービスを販売する顧客を知る ―― すなわち顧客の情報を蓄積・管理するということは、重要な意味があります。顧客ニーズの多様化が進む現在、いかに優れた製品・サービスを提供しても、必ずしも販売に結びつくわけではありません。顧客の情報を管理してニーズを把握し、顧客に最適な製品・サービスを提案することが、営業力強化につながります。

今回は、自社に最適な顧客管理方法を選択するために、事前に知っておくべきことを紹介します。

本コラムの目次

顧客管理ツールの種類とメリット/デメリット

自社の製品・サービスを提供した顧客の情報を蓄積していくことは、企業活動にとって非常に重要です。蓄積・管理している顧客情報をもとに、事業戦略に役立てられるからです。顧客の情報を蓄積・管理し、それを活用することが顧客管理の役割です。その目的は、大きく2つあります。

1つは、既存の顧客をつなぎ止めるという目的です。取引中の顧客が購入した製品・サービス、その購入担当者や購入日、購入金額だけでなく、製品・サービスに対する評価や要望、購入日から推定した更改時期、購入金額から推定した予算などの情報を徹底的に管理し、その情報に則した営業活動を行うことで、顧客が競合他社に流れないように囲い込むわけです。

もう1つは、新規の顧客を獲得するという目的です。自社が扱う製品・サービスを導入していない顧客、あるいは競合他社の製品・サービスを利用している顧客の中から、自社の製品・サービスに興味を示しそうな有望な見込み客に対し、効果的なマーケティング活動を行って、最終的に自社の顧客になってもらうのです。これは、過去に取引があった顧客を再び呼び戻す場合も同様です。

このように事業戦略、営業・マーケティング活動に欠かせない顧客管理ですが、情報のIT化が進んだ現在、紙ベースの顧客台帳が使われることは少なくなり、おおむね以下の3つのツールが使われています。

オフィスアプリケーション

顧客管理ツールの入口として最も一般的と言えるのが、Microsoft Excel、Accessなどに代表されるオフィスアプリケーションを利用して顧客情報を管理するという方法です。オフィスアプリケーションは汎用性が高く、慣れ親しんだ操作性が最大のメリットです。誰でも使えるという手軽さでは、右に出るものはありません。

ただし、汎用性が高いということは、言い換えれば顧客管理を目的として作られたアプリケーションではないということです。データ管理を想定した関数が豊富に用意されているものの、デメリットは少なくありません。

特にファイルそのものが顧客データベースであることが最大のデメリットと言えます。顧客情報を管理するデータベースは、入力漏れや情報の分散、漏洩を防ぐためにも一元的に集約すべきですが、オフィスアプリケーションならばファイルをコピーするだけで簡単に顧客データベースの複製ができてしまいます。これでは企業にとっての機密である顧客情報を確実に守ることはできません。また、複数人の同時入力が難しかったり、管理可能な件数に限界があったりするのも、オフィスアプリケーションの欠点です。

顧客数が限られ、顧客管理に必要な情報も少ない企業では、オフィスアプリケーションを利用することも考えられます。しかし、顧客管理を事業戦略、営業・マーケティング活動に活用する大多数の企業には、セキュリティの面からもオフィスアプリケーションの利用はおすすめできません。

会計ソフトウェア

顧客管理ツールとして会計ソフトウェアを利用している企業は少なくありません。会計ソフトウェアは、会社に入ってくる金銭(売掛金)や企業が支払う金銭(買掛金)の記録、請求書の発行、棚卸資産の管理、受発注処理の管理などを目的とするアプリケーションですが、そこには顧客との取引情報が欠かせません。

顧客を管理するという発想は、もともと会計処理から生まれたものです。江戸時代の商家で使われていた「大福帳」は、会計帳簿としての役割に加え、顧客情報を管理することを目的としていました。大福帳には、顧客ごとに口座を設けて販売した商品の価格、数量などの購買履歴を記録していたのです。これは現在にも通じるところがあり、会計ソフトウェアで顧客情報を管理しているわけです。

会計ソフトウェアを顧客管理ツールとして利用するメリットは、売上や取引などの購買履歴情報を統合的に管理できることです。そのため、例えば企業の事業子会社のように親会社の特定業務だけを請け負うような企業、顧客が限定されている企業にとっては最善のソリューションと言えるでしょう。

しかし、顧客情報を事業戦略、営業・マーケティング活動に活用したいと考える企業にとって、機能が限定される会計ソフトウェアは十分な役割を果たしません。それ以前に、企業の基幹系システムとして扱われる会計ソフトウェアを営業部門の情報ツールとして利用することも想定されていません。

CRMシステム

顧客情報を管理するためのツールとして生まれたのが、CRM(Customer Relationship Management)システムです。顧客管理の専用ツールだけあって、詳細な顧客情報を可視化できることがCRMシステムの最大のメリットです。

オフィスアプリケーションや会計ソフトウェアの顧客データベースでは、顧客の連絡先や購買履歴など限られた情報のみが管理されています。一方、CRMシステムでは会社名や担当者名などの定量情報をはじめ、購買目的、志向やニーズなどの定性情報を含めた顧客属性、購入した製品・サービス、取引数量・金額などの購買実績、頻度や予算、次期購入見込みなど、あらゆる情報を蓄積し、社内で共有します。

こうした顧客情報を事業戦略、営業・マーケティング活動に活用するために、多くのCRMシステムは営業支援(SFA=Sales Force Automation)システムとしての機能も備えています。SFAにより、顧客情報を中核として商談状況、訪問スケジュール、見込みや実績などを統合的に管理するわけです。

顧客管理ツールとしてのCRMシステムには、特段のデメリットはありません。しかし、使い勝手や機能により、企業の営業・マーケティング活動にマッチしない場合があります。例えば、入力作業が面倒で現場に浸透せず、高額の投資をして導入したのに結果的に使われていないというケースも多々あります。敢えて挙げるとすれば、自社の環境や課題に即したソリューション選定が難しいというのがデメリットになるかもしれません。

確認しておきたい5つのこと

では、顧客管理ツールを導入する場合、どんな部分を確認しておくべきでしょうか。実際にソリューションを選定する際には運用管理面や導入コスト面も含めた検討が必要になりますが、それより前に以下の5つのことを確認しましょう。

そもそもどこまでの情報が必要か

顧客管理のより具体的な目的は企業によって異なります。その目的によって、顧客管理に必要な情報も異なってきます。大切なのは、目的に応じて必要最小限の情報だけを収集するということです。

例えば、卸や小売を通して製品・サービスを提供する間接販売ビジネスを行う企業が、顧客一人ひとりにプロモーションする場合、氏名、住所、電話番号、メールアドレスなど、顧客にアプローチするための情報(いわゆる名簿情報)だけを管理すればよい場合があります。さらにメールマガジンを発行することが目的ならば、メールアドレスだけを管理すればよいことになります。個人が特定できる情報は、個人情報保護法によって守られていますから、不必要な情報までを蓄積してそれが流出してしまったら被害がさらに大きくなります。情報管理を煩雑にしないためにも必要最小限の情報だけを収集するわけです。

それに対し法人向けに直接販売ビジネスを展開する企業では、既存顧客を囲い込むためにも製品・サービスの購入履歴はもちろん、顧客の更改時期や予算、営業担当者の活動内容などの案件管理まで非常に多くの情報を管理することが、ビジネスの成功につながっていく場合があります。そうした企業では、SFA機能を備えたCRMシステムが最適です。

同じ法人向けビジネスを行う企業でも、顧客情報を請求書発行や受発注管理にしか利用しないのなら、会計ソフトウェアの顧客管理機能だけでも十分です。このように顧客管理は目的によって程度が異なるので、どこまでの情報が必要かを検討することは非常に重要です。

どこまでの情報が必要か

他のシステムと連携して利用するか

顧客管理で避けて通れないのが、他のシステムと連携して利用するかどうかという点です。例えば、顧客管理ツールで扱う情報を営業・マーケティング活動に活用する場合、SFAツールとの連携は不可欠です。さらに、請求書発行も含めて一元化するには、会計ソフトウェアと連携させる必要があります。

詳細な顧客情報を蓄積・管理し、それを分析・可視化するCRMシステムの場合、SFA機能を備えていることが一般的です。しかし、会計ソフトウェアとの連携ができるかどうかはソリューションによって異なり、できない場合は別々に顧客情報を管理しなければならない場合があります。このとき、それぞれのシステムに手入力するようなケースでは、入力ミスなどのヒューマンエラーを起こすおそれがあるので注意が必要です。

また、SFA機能と一体化したCRMシステムでは、グループウェアとの連携も重要です。顧客への営業活動の記録をCRMシステムに入力し、それと同じ内容をグループウェアに入力するのでは二度手間になります。既存システムと連携することができれば、一度の入力でどちらのシステムにも反映されミスと手間を軽減できます。このように、他のシステムと連携して利用できるかどうかは、ソリューションを選定する際の重要な判断材料になります。

誰が閲覧・入力するのか

顧客管理ツールを効果的に運用するには、ツールを利用する現場の全員で同一の情報を共有することが望ましいのは言うまでもありません。しかし、大人数で利用していると、自分には関係のない情報も飛び交い、どれが自分にとって重要でどれが不要か、判断することが難しい場合があります。

これを回避するには、誰がどんな情報を閲覧するのか、誰が入力できるのかを権限によって詳細に分けなければなりません。例えば、同じ営業部門の中でもチーム内の情報はチームメンバーだけに公開するようにします。上長はすべての情報にアクセスできるものの、重要度によって見るべき情報をすぐに判断できる仕掛けを用意します。

情報が多すぎて必要な情報を見逃してしまった、必要な情報を探すのに時間がかかるというのでは、便利なツールを導入する意味もありません。特に、顧客情報を事業戦略、営業・マーケティング活動に活用する場合は、誰が閲覧・入力できるかという権限を設定できることが重要になってきます。

同じ顧客情報へ複数人が入力するか

顧客管理ツールでは、同一の顧客データベースを扱うことになります。しかし、顧客データベースに情報を入力するとき、同時に一人しか入力できないのでは情報の入力漏れを招いたり、情報の鮮度が劣化したりするおそれがあります。

特にオフィスアプリケーションで顧客管理を行っている場合、同時入力ができないことが多いので注意が必要です。営業・マーケティング活動の効率化、迅速化を実現するためにも、同じ顧客情報へ複数人が同時に入力するケースがあるかどうかは、必ず確認しておきましょう。

外出先から閲覧・入力することがあるか

顧客管理ツール、とりわけSFA機能を備えたCRMシステムを運用している場合、その効果が最大限に発揮できるのは、外出先からのアクセスです。外出先で前回の訪問履歴や地図などが簡単に確認できれば事前準備の手間が省けます。また、顧客情報を更新するために、外出先からわざわざ会社に戻って入力するのは、効率的ではありません。外出先と会社を往復する時間があれば、その分多くの顧客先を回って商談できるのです。また、商談中に持ち合わせていない資料を顧客が見たいとリクエストしても、外出先から必要な資料を閲覧できる仕組みになっていれば、ビジネスチャンスを逃すことも減るでしょう。

スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスが一般化した現在、それを営業・マーケティング活動に活用しない手はありません。ただし、入力しなければならない項目が多く、入力に手間がかかるようでは定着は望めません。営業担当者の負荷が少しでも軽減できるように短い時間で入力が終わるような選択中心の仕組みを用意するとともに、一度の入力だけで顧客管理や案件管理などに情報が反映されるCRMシステムを選ぶことが肝要です。

顧客管理の目的を明確にし、ツール毎の特性を理解できれば、最適な顧客管理の準備は整ったも同然です。
是非、参考にしていただければ幸いです。

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